「ダイブマスターまでの期間と費用」で書かせていただいた通り、ダイブマスターになるには最短日数21日間、経験本数60本でなることが出来ます。
これは、あくまで最短でのことであり、ダイビングショップによっては、そのショップのインストラクターのお手伝いをしながら、100本、200本と経験を積んで、地形を覚えたり、安全管理を覚えたり、その他の仕事を一通り覚えてからダイブマスター認定をするショップもあり、その場合、半年から数年かけてダイブマスターになるということもあります。
本土のショップの中には、「沖縄でダイブマスター資格を取った」というと、「沖縄は簡単にダイブマスター取らせるからね〜」と、軽んじた態度で見られることもあると聞きます。
しかし、実際のところどうでしょうか?
本土のショップで長年かけてダイブマスターを取得した人や、そうした経験を経てインストラクターに成った人たちからしたら、「たった6日間でダイブマスターにしてしまう沖縄のショップってなんなの?」と感じてしまうのかもしれませんが、その期間でダイブマスターを取得出来ると定めているのはPADIなどの団体であり、沖縄のダイビングショップではありません。
つまり、本来は6日間程度でダイブマスター講習を修了することが出来るPADIなどの団体が定めたカリキュラムなのにも関わらず、「最低でも100本、200本くらいの経験がないと使い物にならないから、そんなのでダイブマスターになっちゃダメだよ」などと独自の主張で経験本数を増やしたりしているに過ぎないという見方も出来ます。
また、その100本、200本は、そのダイビングショップが無料でダイビングさせてくれるわけではなかったり、手伝った仕事に見合う報酬を頂けるわけでもなかったりもします。
このように、「沢山の経験を積まなくてはダイブマスターになってはいけない」などということはなく、PADIなどの団体で決められたカリキュラムをこなして基準をクリアできればダイブマスターになって良いのです。
別の視点で考えると、インストラクターになる場合も、1週間ほどのIDCに参加し、2日間のIEに合格すればインストラクターになれます。
これ以上に、何か必要な経験を積まなければいけないなどの決まりはありません。
ちなみに、これを書いている私は、経験本数60本でダイブマスターになり、インストラクター試験を受けるために最低限必要な100本の経験でインストラクターの試験を受けて合格し、インストラクターになりました。そして現在はインストラクターを育成するIDCスタッフインストラクターになっています。
「インストラクターになるためには何百本という経験を積んでからでないと・・・」などということはありませんし、実際、インストラクターになっていない人がインストラクターとしての経験など積めるはずもありません。
同じように、ダイブマスターになっていない人が、ダイブマスターとしての経験を積むことも出来るはずがありません。
なぜなら、ダイブマスターになっていない人は、ダイブマスターとしての仕事が出来ないからです。
さて、前置きが長くなってしまいましたが、本題である「ダイブマスターとして働くために」という話をしたいと思います。
といいながら、インストラクターの話に戻してしまうのですが、インストラクターになったからといって、いきなり講習生を相手にして安全かつスムースに講習できるかというと、そんなことはありません。
資格としては1人で講習を開催出来るのですが、経験がなく不安なので、だいたい先輩インストラクターに横についていてもらいながら講習を開催します。
このように先輩インストラクターに見守られながら、新人インストラクターとして仕事をして経験を積み、その後、独り立ちするわけです。
つまり、何が言いたいのかといえば、インストラクター資格を取得してから、インストラクターとしての経験を積んで一人前になるのであり、まずインストラクター資格を取得しなければ話が始まらないのですということを言いたいわけです。
これと同じように、ダイブマスターの場合も、まずはダイブマスター資格を取得してから、先輩ダイブマスターやインストラクターに見守られてダイブマスターの仕事をし、経験を積んでようやくダイブマスターとして独り立ちできるようになるのです。
ですから、まずはダイブマスターの資格を取得しなければ話が始まらないのです。
そして、ダイブマスター資格を取得したら、とりあえずショップで働くことは可能です。
新社会人が、なにも分からないまま会社に入社して、会社に入ってから色々な業務を覚えて仕事が出来るようになるのと同じように、ダイブマスター資格を持っているだけで、何も分からなくてもショップに就職できます。
そして、ダイビングショップに入ったら、そのダイビングショップがツアー開催しているダイビングポイントを覚え、その地域の天候の変化や特徴を覚え、緊急時の対応方法などを覚えていきます。
ですので、結論を言ってしまえば、そのダイビングショップが、「ダイブマスター取得したばかりのなにも分からない人でもいいです」というのであれば、何も心配なく就職して、就職してから一生懸命に色々なことを覚えてください。
最初のショップで仕事を通して色々なことを学んで、一人前のダイブマスターになったら、他のショップに転職する際には即戦力として採用してもらえると思います。
また、転職せず、最初に就職したショップでガイドとしてキャリア形成してポジションを得ても良いと思いますし、キャリアアップしてインストラクターに成っても良いと思います。
私は、医師や弁護士や教師や介護士など様々な職種の人とお話をさせていただく機会が多くありましたが、どのような職種の人でも、資格だけでその仕事が出来るわけではなく、資格を取った後にその仕事で実際に経験を積んで一人前になっていくというのは共通していると感じています。
ですからダイブマスターも同じです。
まずはダイブマスター資格を取得し、ダイブマスターとして働いて初めてその仕事のプロになっていくわけですから、臆することなくダイブマスターの資格だけで働き始めてみてください。
もちろん「未経験のダイブマスターは雇えない」というショップも多いと思いますが、「未経験ならウチのショップで仕事を覚えて頑張ってよ」というショップもあるはずです。
ということで、ダイブマスターとして働くために必要なのは、「行動」です。
知識や経験ではないですよ。
行動を起こして、自分の人生を前に進めてください。
「ダイブマスターとして働くために」という題目を見てこの文章を読んでいるくらいですから、興味はあるはずです。
単に知識欲を満たすために読んでいる人もいるでしょうが、「ダイビングの仕事をやってみたいな、でも出来るかな」と思いながら読んでいる人もいるはずです。
ここで書いたことは、知識欲を満たすために読んだ人には何も有益なことを伝えておらず申し訳ないのですが、背中の一押しが必要な人にとっては何かのプラスになれるのではないかなと思います。
というか、なれたらいいなと思います。
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